不思議なランプ

「な!何じゃあ!」

 

 

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話は遡ること数時間

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一日しっかり働いて疲れ切った体を引きずるように家路につく私。

そんな私がふらふらと立ち寄った怪しい骨董品店

 

普段は骨董品になど全く興味がないのに何故そんなところに立ち寄ったのか。

 

今となっては皆目見当もつかない。

 

吸い寄せられるように店内に足を踏み入れる。

すると

 

「ここやここ!こーこ!!」

 

ん!?

 

何かに呼ばれた気がする

 

「アホか!気のせいちゃうわ!じぶんやじぶん!わしやがな!」

 

確かに呼ばれている。

疲れすぎているのだろうか。

そんな不安を抱きながらも辺りを見回してみるとそこにはきったないランプ

 

「やかましいわっ!失礼にあたるやろ!誰がきったないんじゃい!」

 

「嫌な予感がする。」

慌てて店を出ようとすると…

 

「まいどありっ」

 

店主が満面の笑みでそのきったないランプを渡してきます。

 

私「いや、買ってませんよ、全くいりません」

店主「いえいえ、お代はいりません。ただ、このランプがあなたに持っていてもらいたいような気がしたのです」

 

私は見逃さなかった。

店主が満面の笑みの裏で脂汗がだらっだらだったのを。

 

私「脅されているのですね?」

店主「もういいから帰ってくんな!今日はもう店じまいでい!!」

 

私「何をそんなに急に江戸っ子になっているんですか!怪しさ120%ですよ!」

店主は自分のつま先を挟みかねない勢いでシャッターを叩き下ろしてしまいました。

 

 

私「いらないからここに置いていこう」

 

ランプ「【あほか!そこは疲れているし仕方が無いからとりあえず持って帰ろう】の流れだろうが!」

 

私「・・・嫌な予感しかしない」

 

こうして嫌々持ち帰ったランプ。

 

家に着いてゴミ箱にそのきったないランプを叩き込もうとした瞬間

ここから冒頭に戻ります

 

 

ランプ「あほか!なんで捨てんねん!自分たいがいにせぇよ!」

 

私「なんて不思議な埃だろう」

 

ランプ「あほか!誰が埃じゃい!誇り高いランプの妖精じゃ!ランプの妖精のしずくじぃさんじゃ!」

 

 

私「あぁ、とうとうやっちまった!病院いかなきゃなぁ…」

しずく「いやいやいや、他の全てが腐っていてもワシが見えていることだけは正常や!」

 

私「まぁいいや。寝よう」

しずく「よくないやろ!この状況でなんで寝られんねん!不用心にもほどがあるわ!っていうか自分ボケ多いわ!ボケが大渋滞で話が先に進まへん!」

 

私「わかった、わかったよ。で、しずくじじぃ。なんの用だ?疲れているから手短に頼むよ」

しずく「とりあえずじじぃの部分を訂正しろや。さっき初めましてしたばっかりなのに失礼すぎるやろ」

 

私「ほら、話が進まないぞ」

しずく「くっ!なんて性格の悪い奴や!」

 

しずく「時にじぶん!なんでワシを呼び出したん?」

 

私「いや、得意顔で何言ってるんだよ。お前が勝手に出てきたんだろ!」

私「きょとんとすな!」

私「なっ、なんだよ。ノリ悪いなこいつみたいな顔すんなよ!」

 

私「わかった!わかったよ!しずくじぃさんはあれですか?ランプの妖精ですか?呼び出した者の願いを叶えてくれる的なやつですか??」

 

しずく「そう思うやろ?けどなぁ、それ、しずくじぃさん呼び出した時の間違いあるある第1位のやつや!そんなランプから何かが出てきたくらいで願いが叶うなんてどんだけずうずうしいねん!今日の朝からやり直して来いや!」

 

私「いや、今日の朝からやり直しても大して変化は生み出せないしそもそもやり直せたらお前なんて絶対家に持ち帰らんよ」

 

 

私「困ったらその顔するのやめろや」

 

しずく「ちなみにじぶん、もしなんでも願いが叶えられるとしたら何を願うん?おっと勘違いすなよ!実は叶えてくれますよ的なやつちゃうからな!おんねんなぁ、なんだかんだいいつつ最後は願い聞いてくれるんだろ?みたいに思ってる奴。世の中そんなに甘くないわ!!!このあほんだら!!」

 

 

私「とりあえず自分の言葉でキレるのやめてもらえる?」

しずく「いいからとっとと答えろや」

 

私「あり余る富がほしい」

 

しずく「うわぁ~~~でたぁ~~~キング・オブ・ベタ!ベタ1グランプリぶっちぎり優勝!」

しずく「んで?」

 

私「いや、終わり。ざっつおーる」

しずく「なんでやねん!富を手に入れて終わりかい!!なんのためにそれが欲しいのかって聞いてんねん!

 

私「え?あり余る富があったら人生楽じゃん。」

しずく「それなら富が手に入った瞬間終わりやがな。その先の人生なんにもないがな」

 

私「いや、とにかく楽しく暮らせるだろう」

しずく「具体的には?具体的に考えてみぃや」

 

私「(これはもしかして具体的に考えて実践していくことで最後は本当に巨万の富を手に入れて幸せになっちゃうやつか??)」

 

しずく「ちゃうよ。そんな都合のいい話やあらへん。単なるワシの気まぐれや。ひまつぶし。」

 

私「人の心を読むなよ。」

 

しずく「なんとなく思うだけだったら何にも叶わへんよ。目標を立てたらそれに向かって何でもいいから走り出さんかい。

どんな小さな一歩でもいい。スモールステップを大切にせぇ。

そしてどんどん失敗するんや。

トライ&エラーや」

 

私「けど、何から始めて良いのかまずそこからわからんしなぁ」

 

しずく「なんでもえぇねん。小石でも転がりだしたら勢いがつくわい。なんにもせぇへんかったらなんにも始まらん」

 

私「ん~~ん」

 

しずく「じぶん、生活する中でちっさな違和感とか感じることあらへんか?」

 

私「とりあえず君の存在が今世紀最大級の違和感だけども?」

 

 

しずく「その違和感を大切にするんや」

私「いや、困った時の顔せんのかい!それと聞かなかったことにすんなや!」

 

しずく「とにかくや!諦めることをやめるんや。そしてなんだかおかしいぞ?と思うことを一つずつ潰してみぃ」

 

「おらぁ!!ランプを潰そうとすなぁ!!!!」

 

 

しずく「じぶん、急すぎるわ。突沸しすぎやわ。頭の中に沸騰石入ってんのに。あれ?そのちっさいのが脳みそ?ププッ」

 

「あぁごめんなさいぃいい!ランプだけはやめてぇ!!!」

 

 

私「わかったよ。これから一つずつ挑戦するよ。とにかく今日は疲れたからもう寝るよ。」

 

しずく「さよか、ほな明日からがんばろな」

 

 

 

つづく??

 

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