スキーをしてたら地面に根をおろした話

 

私が生まれ育った小学校にはスキー学習というものがありました。

授業の一環としてスキー場でスキーを教えてくれるのです。

私は両親があまりアクティブではないので幼い頃からこのスキー学習くらいでしかスキーをしたことがありませんでした。

 

絶対的経験回数が少ないので当然他の子よりもヘタ。

 

しかし運動神経の優れていた私はスポーツ全般が得意で周りの認識もそうでした。

 

そう、周りは私がスキーがドヘタだとは夢にも思っていない。

いや、友達だけではありません。

教師ですらも恐らくそうだったでしょう。

 

授業の最初は基本的な転び方、スベリ方についてなのでどうにかごまかしが利きます。

妙なプライドから自分がスキーがヘタだとばれたくなかった私は内心ヒヤヒヤしながらも無事に一日を過ごしていました。

 

しかし

 

その時は突然訪れた。

 

スキー場には誰が作ったかわからないちょっとしたジャンプ台というものが必ず存在します

 

子供の好奇心はこういったものを見逃しません。

 

スキーの得意な子達が喜んでここに集まると教師も安全上その場に行くしかありません。

教師がいることでさらに生徒は集まります。

 

即席のジャンプ大会の誕生

 

何故かみんな順番に飛ぶことになる

 

先生も止めりゃいいのに何故か順番を仕切りだす。

 

「飛びたくない!!」

 

心の中で全力で叫ぶ私

しかし現実では

そんな事は言えない

妙なプライドができないなんて言わせない。

 

一人二人と近づく私の番

あっという間に訪れる私の恐怖のジャンプ

 

私は人並み以上に運動神経が優れている

やったことは無いけれど他の子ができるジャンプなんてやってみたらできるに違いない

 

意を決して飛ぶ

 

スキーのジャンプってテレビなんかで見たことありますかね?

あれね、スキーの先端が下に向かないように姿勢を保持しなくてはならないのね。

あの100mとか飛ぶ人と一緒にする訳じゃないけれど基本的には小さいジャンプも同じ

そうしないとバランスが崩れて着地できないから。

 

そんな事なんて全く知らない私

 

勢いだけで飛び出す

 

結果

 

 

完全に前のめり

 

 

前のめり過ぎて前方に一回転。

 

いや、実際は半回転

 

 

「あっ、怪我だ、これは大きめの怪我をするかもしれない」

スローモーションの世界で覚悟を決めた私はそっと目を閉じた。

 

 

次の瞬間

 

目を開けた私の視界に広がったのは大空

「あれ?大けが通り越しちゃった??」

 

焦る私

 

急いで状況を確認しようととりあえずアクションを起こす

 

体が動かない

 

力は入るのに身動きが取れない

 

なにこれ

 

そっと視線を足元に送ると

そこには

 

 

私の足を中心に後半分がすっかり地面に刺さったスキー

 

そうスキーの踵側がすっかり地面に刺さっていたのです

 

人間は膝より下が埋まると動けなくなる

これはきっと1つの関節の可動を失うことで今までの筋肉や体の動かし方では対応しきれなくなるからでしょう

 

スキーが半分埋まった私は言わば関節を1つ失った訳です。

 

動けない。

 

全く

 

周りで見ていた友達や教師は

また目立ちたがり屋な私が運動神経にものを言わせて大技を繰り出しおったww

しかも失敗しているwww

滑稽www

くらいにしか思っていなかったのでしょう

事の重大性がイマイチ伝わっていなかったので

誰も助けてくれない

 

 

動けない

 

刺さっているを通り越して地球からはえている私は動けない

そりゃそうです

地面に根を下ろしていますから

 

そこらへんの植物が自分で根っこを引っこ抜いて歩き出したら気持ち悪いでしょう?

地球のルールに反するでしょう?

 

私も地球からはえている以上動けない

 

なので今でもこうして刺さったままブログを更新している訳ですが

 

嘘です

スキーを外して見事に脱出しましたから。

 

 

教師は笑いながら

「おしかったけどこういう危ない技は前もって申告してなww」

なんて言ってました

 

平静を装いながら口から飛び出しそうな心臓を体内に押し込むのに必死だった私は「二度とスキーなんてしないからな」

そう心に誓うのでした

 

以上地面からはえながらお送りしました

 

 

 

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