人間に見える物
それは可視光と呼ばれる範囲の波長の電磁波
物体がどう見えるかは、その電磁波のどの部分が反射され、どの部分が吸収されるかの結果に過ぎない。
さらにはその情報を個々の脳が判断した結果が映像として把握される訳だから、こんなに不確かなものはない。
つまり、誰1人として同じ世界を見ていないのかもしれない。
私は常々そんな疑問を抱きながら生きている。
そして今朝、私はその確たる証拠となり得る物を見てしまった。
いつものように鉛の様に重たい体を引きずるように会社に向かう私。
ふと、向こうから大きな声が聞こえてくる。
随分大きな声で会話しながら歩いている人だなと思って視線を上げるとそこには1人のおじさん。
1人のおじさん
誰と喋ってるの….
そうつまり、このおじさんには見える光の反射が私には見えていないわけ。
そこにいるはずのもう1人の人が見えていないわけ。
いや、1人とは限らない。
もしかしたら彼は団体さんなのかもしれない。
しかし私には見えない。
私には見えない以上、そこに何人いるのか、そして誰とおじさんが話しているのか確認する術はない。
もう一つの可能性として
大声で世の中という見えない何かに問題提起しているおじさんだったという可能性もあるが、ここではそれは無視しよう。
1人で大声で話すおじさんを興味深げに凝視するおじさん(私)
その瞬間
私の脳にはこのようなシュールな図式が成り立った。
ただし、それがこの世に起こった事実だと確認する術は誰も持たない。
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